スペインのワイン産地


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 スペインは、イタリア、フランスと並ぶヨーロッパの三大ワイン生産国であり、ブドウ栽培面積では世界一を誇ります。イベリア半島の大部分を占め、地中海と大西洋の二つの海に囲まれた多様な自然環境を持っています。
スペインワインの多様性を生む最大の要因は、変化に富んだ地理と気候です。気候は温暖な地中海性気候が中心ですが、平均標高600〜700m、場所によっては1000mを超える高原地帯メセタがある中央部では厳しい大陸性気候をもたらし、大西洋の影響を受ける海洋性気候の緑豊かなガリシア地方まで、気候や地形の多様性が、それぞれ異なるテロワールや味わいを生み出しています。
栽培されるブドウは70種以上の固有品種から伝統的な土着品種、国際品種まで非常に多岐にわたり、多様なテロワールと、テンプラニーリョ、ガルナッチャ、アルバリーニョ、ヴェルデホといった数多くのブドウ品種との組み合わせが多彩な個性として表現されています。

 伝統的な長期樽熟成ワインのイメージが強いスペインですが、近年では果実味や風味を前面に出したモダンなスタイルのワイン造りも広がり、多品種・多スタイルのブレンドや新技術の導入など、産地ごと生産者ごとに独自のチャレンジが盛んです。若々しくフルーティなワインから、奥深い熟成を経た複雑な味わいのワイン、オーガニックや自然派ワインまで、表現の幅が広いのもスペインの大きな魅力です。
各地方の小規模な産地や家族経営のワイナリーでも、地元品種と伝統的手法を守りながら、革新的なワインが生まれています。内陸部アルマンサでは、日較差の大きい乾燥した気候と高い標高を活かした、ガルナッチャ・ティントレラやモナストレルなどの栽培が盛んで、凝縮感のある果実味豊かな赤ワインが高く評価されています。
スペインのワインは風土・文化・人々の営みが生み出す多層的な個性を映し出しています。伝統と革新が共存するこの国では、今も新しいワインの物語が生まれ続けています。

 


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